【ROYAL限定公開コラム】ROYAL INSIDE|Vol.1|金鯱賞:振興密約の背景

【ROYAL限定公開コラム】ROYAL INSIDE|Vol.1|金鯱賞:振興密約の背景

馬事生産振興会の活動再開に多くの反響をいただけましたこと、まずは心より御礼申し上げます。

週頭にご挨拶がてら公開させていただきました、

▶︎【ROYAL INSIDE|序章:ROYAL認定競走が必要とされる絶対的な理由】

こちらの「序章の内容」に対して、多くの方からHSP側にご質問が寄せられたと伺っております。

ご質問の内容を大きく分類すると「3つ」に分けられます。

①馬事生産振興密約競走(ROYAL認定競走)は八百長レースなのか

②馬事生産振興密約競走はなぜ行われるのか

③馬事生産振興会とはどのような組織であるのか

おおよそこの3つ質問に分類されていたかと思います。

長らくお付き合いのある「新興会賛助会員様」はご存じの話とはなりますが、今回「HSP」に所属のROYAL認定会員様が初めて「馬事生産振興密約競走」に触れるという方が多数いらっしゃる状況ゆえ、誤解なきよう解説をさせていただいた上で、コラムの本編へと移らせていただきたいと存じます。

改めましてごあいさつ申し上げます。
馬事生産振興会・専務理事の河野匡洋でございます。

まず順不同となりますが、「馬事生産振興会がどのような組織であるのか」について申し上げます。

一言でいえば「スタリオン(種牡馬牧場)」「ファーム(生産牧場)」「トレセン(育成牧場)」による「互助組織」であり、理事会を頂点に、以下「正会員」「賛助会員」にて組織されております。

正会員には「牧場関係者」「馬主関係者」、賛助会員には「政財界関係者」「資産家」の皆様が存在いたします。

「馬事生産振興密約競走(ROYAL認定競走)」に関しては、こうした正会員、賛助会員らの振興会への貢献度に応じて「参加枠が配分される」仕組みとなっており、今回、馬事生産振興会の正会員である「HSP社」には、50枠が配分され、その参加枠をROYAL認定会員様に公募されたという状況となります。

そもそも生身の動物である「サラブレッド」を中心とした「馬事産業」においては、安定的かつ永続的な繁栄を具現化すべく、いわゆる「持続可能性=SDGs」をどの業界よりも早く意識した活動が行われており、それは日本のみならず欧州/米国/豪州等の世界共通の認識であるといえるわけです。

そして日本での馬事産業のSDGsへの取り組の中枢にいるのが「馬事生産振興会」であるという構図となっております。

これは、競馬発祥の地である英国の活動に起因することは「序章」でも記述させていただいた通りであり、全てが全て「偶然」を頼りにした「生産活動」では、馬事産業が世界中でここまで発展しえないということを意味しております。

ご存じの通りサラブレッドは「人の手が介在」して初めて生を受けます。
そして、ゲノム操作や人工授精が禁じられているのが「競走馬生産」の大前提でございます。

そのような馬事産業界を取り巻く大前提の中、安定的にサラブレッドを生産し、競馬興行を成功させてゆくことの難しさは誰もが薄々気が付いてくれていると私共は思っております。

表と裏、明と暗、陰と陽。

様々な物事の成り立ちには「様々な側面がある」という「当たり前のこと」を見て見ぬふりをする方が多いようでございますが、

・サラブレッドは機械ではない
・サラブレッドは食用ではない

そして、

・サラブレッド生産では人工授精/ゲノム操作は禁ずる

という制限下での生産であること。

この「当たり前」をどうとらえているか。
わかっているようでわかっていない方が実は多いのです。

基本姿勢としては「自然交配」「自然分娩」という建前ではありますが、サラブレッド生産の「どこが自然なのか」ということ。

種付けシーンを見学したことがある方や、分娩シーンを見学したことがある方ならお判りいただけるとおもいますが、基本的に「種付けも分娩も馬のみでは成り立たない」のが、サラブレド生産の当たり前です。

もちろん、自ら競走馬になろうなどと考えるサラブレッドはいませんし、爪一つとっても自分では削蹄すらできないのがサラブレッドでございます。

そこに「人が介在する」からこそ産業足りえているわけです。

もちろん産業であるという大枠の中に「競馬は文化である」という考え方も含まれますが、そもそも経済動物としてここまで種が保存されてきたのがサラブレッドである以上、どこまで行っても「資本主義」の前提から抜けられないのが、サラブレッド生産の本質であるわけです。

にもかかわらず、人工授精すら出来ぬのがサラブレッド生産の世界。

現実を申し上げれば、ゲノム解析に関しては相当早い段階からサラブレッド生産の中でも取り組まれております。

これは米国の馬事産業界が先駆者であるといえますが、現在は日本はもちろんのこと欧州や豪州などでも「ゲノム解析まで」は徹底的に行われているというのが、私共の常識であり、いわゆる表面的な血統論などは、とうの昔に「捨て去られている」というのが実際です。

そこまで管理して初めて「ニックス」という言葉が力を持つわけですが、その事実を知らぬ方は多いのではないでしょうか。もちろん、インブリードに関しても同様です。

例えば配合に見られる「〇〇の4×3」というインブリード。

ゲームの影響などで「奇跡の血量」などと言われておりますが、オカルトもいいところ。
例えば同じサンデーサイレンスの4×3でも「この因子のゲノムが無ければ、インブリードは完全にマイナス効果」といった、さらに細かな分類が当然のようにあるわけです。

つまり、現在競馬界で語られている血統論などは、いわば「血液型占い」のようなものであり、まるで体系立っていないわけです。

ではなぜ、そのような血統論がまかり通ってしまうのか?

いわゆる「因果の逆転」が起こっているからにほかなりません。

因果関係が逆転してしまう「誤謬」のような状況は私生活でもよく見受けられます。
AだからBであると思っていたが、BだからAであるというこの錯誤は、とりわけマーケティングや統計の分野で見られるわけですが、まさに血統論がこの状況といえるわけです。

「この血だから、この結果になる傾向が強い」

ということではなく

「この血に”この結果”を残させるから、この傾向になる」

ということ。
恣意的に結果が作られているケースがあるという事実を知らぬ立場からしてみれば、そのような因果の逆転に気付けるはずもないわけですが、事実としては、「出た結果に対して後追いで、統計的に証明しているにすぎない」以上、相関関係にはありますが因果関係に無いのが血統論であるわけです。

自然発生的に「ある血だけに」好成績が偏る。
正直、そう信じている方が非常に多いと思うわけですが、はっきりと申し上げます。

それは事実ではありません。

現在のユーラシア大陸にはチンギスハンのDNAの痕跡をもつ人類が多いという話を聞きますが、人間ですら難しい「血のコントロール」を、サラブレッドにて、しかも、建前として「自然交配=人工授精禁止/ゲノム操作禁止」という条項がある以上、できることは…

「レースの結果を操作すること」

しか残されていないわけです。

さて、この表現が正しいのかは私共はいつも考えます。

「レースの結果を操作すること」

は何も八百長であると申し上げているわけではありません。
むしろ八百長などせずとも「恣意的な結果を導き出すことはできる」わけですが、そこををご理解いただくことの難しさがございます。

例えば、世界一位の称号を獲得した「イクイノックス」が、引退直前の最高の状態で今週末の「未勝利戦」に出走していたら、負けると思う方はいらっしゃいますでしょうか?

いないでしょう。
その代わり、単勝オッズは1.0倍は免れないでしょう。

これはわかりやすい例です。

もしも、その馬が「イクイノックスだとわからなければ」、馬体診断や追い切り診断を正確にできる方なら、その馬がイクイノックスだとわからなくとも、「これは馬のレベルが違う」と思うでしょうが、初出走で過去の実績もないわけですから、1.5倍程度はオッズが付くでしょう。

そして、追い切りすら時計が改ざんされ、マスコミからは酷評を受けていたとしたらどうでしょう。
未勝利戦に出る馬の追い切り動画などはほぼ公開されることはありませんから、うまくゆけば「単勝10倍」くらいはつくのではないでしょうか。

競馬とは競争である以上「相対的なもの」でございます。
自らが強くなくとも、まわりがもっと弱ければ勝てるわけです。

そしてその馬が「強い」という認識はどこでするのか。
それはレースの結果で印象付けが決まります。

つまり「強いと判断するための根拠」が無ければ、誰も見向きもしないわけです。

それがオッズに反映されるのが競馬ですが、オッズで競走馬が走るわけではないことも皆様ご存じでしょう。

強い馬は強く、弱い馬は弱い

という事実があるわけですが、結果が出るまで一般競馬ファンは「過去のイメージだけをもとに強弱を議論しているに過ぎない」わけですが、それは「競走馬を相対的に見ることしかできない」からですが、全ての競走馬を「絶対的に評価すること」ができれば、上記した「イクイノックスの例」のように、判断することは簡単なわけです。

あくまでこれは「例えばの話」でございますので、馬事生産振興密約競走が「未勝利戦である」ということではございません。

この状況と同じ状況が、「古馬戦線」や「重賞競走」でも容易に作れるということを申し上げたいわけです。

そして、この馬事生産振興密約競走はあくまで「恣意的に血の偏りを作るための呼び水的な位置づけ」として、必然の結果が生まれるよう準備されるのです。

さて、前段がだいぶ長くなってしまいました。

頂戴いたしました3つの質問。

①馬事生産振興密約競走(ROYAL認定競走)は八百長レースなのか
②馬事生産振興密約競走はなぜ行われるのか
③馬事生産振興会とはどのような組織であるのか

この質問に答えられる範囲の表現で書き記してまいりましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
否、ご理解いただく必要も、現段階で信用していただく必要もないかもしれません。

百聞は一見に如かず

でございますし、そもそも論として「馬事産業界の根底部」のお話であり、明と暗でいえば「暗」の部分の話ございますので、すぐには信じられないという方も多いと思います。

人は自らの常識に無い概念や事実を突きつけられた際に「無意識に拒絶する」生き物でございます。
なぜなら、過去信じてきた常識、そしてそれを信じてきた自分自身を否定することになってしまうからです。

つまりは自己防衛本能の一種なのだと思います。
真実から目を背けて生きるか、それとも真実を受け入れて生きるか。
むろん自由でございます。

しかしながら、今この「真実」を知る立場となった皆様には、いわゆる「老害」よろしく、新たな常識を受け入れられない、真実を受け入れるのが怖い、といった状況は是非とも打破していただきたいとは思っております。

それではこの【ROYAL INSIDE】の本題、「第60回金鯱賞」についての話に移らせていただきます。
最後までしっかりお目通しいただき、馬事生産振興密約競走について一歩でも理解に近づいていただけたら幸いでございます。

ROYAL INSIDE|Vol.1|金鯱賞:振興密約の背景

3月10日(日)
中京11R 金鯱賞
芝2000m;別定

1-1:シーズンリッチ
2-2:ワイドエンペラー
3-3:ドゥレッツァ
4-4:プログノーシス
4-5:ブレイヴロッカー
5-6:ヨーホーレイク
5-7:ヤマニンサルバム
6-8:バラジ
6-9:ノッキングポイント
7-10:アラタ
7-11:エアサージュ
8-12:ハヤヤッコ
8-13:レッドジェネシス

上記のメンバーで行われる伝統のGII戦にどのような裏が隠されているのか。
既に「必然の勝利」を収める予定の馬は決定済みであり、その目論見を知る立場の一人として今ここで皆様に申し上げておくことを記述する。

むろん答えをここに書き連ねるわけではない。

しかしながら、「事前にこうなるということを知っていないと書けないこと」を書いてゆくのがこの【ROYAL INSIDE】の目的である。

なぜそのようなコラムを公開するのかという目的について申し上げれば、それは、

「俄かに信じることが出来ない認知的不協和に陥ってしまわれている方に、真実を突きつける」

という目的でもある。

ノーザンFと社台F。
もちろん、吉田一族として「同族」「グループ」と目される向きも多く、ひとくくりに「社台系」「社台グループ」と言われる場合が多い。

さてそれは真実なのか。
この金鯱賞に出走させているそれぞれの生産馬を見てみる。

=社台F生産馬=
・プログノーシス
・ブレイヴロッカー
・アラタ

=ノーザンF生産馬=
・シーズンリッチ
・ドゥレッツァ
・ヨーホーレイク
・ノッキングポイント
・ハヤヤッコ
・レッドジェネシス

出走馬13頭中この2つの生産馬で「9頭」を占めている今回の金鯱賞。
とりわけ「菊花賞馬:ドゥレッツァ」と「無冠の大器:プログノーシス」という戦いの構図に見えている方が多いと思うわけだが、いわゆる「馬券の枠は3つ」あるわけで、2強対決という単純な構図で考えてはならないレースであるということに、気づいている方がどれほどいらっしゃるだろうか。

そこが今回の金鯱賞の全てであり、重要なPOINTとなる。
その上で、一つ重要な視点をお伝えしておきたい。

・ドゥレッツァ
・プログノーシス
・ブレイヴロッカー
・エアサージュ
・レッドジェネシス

この5頭は「母」が外国産であり、日本での競走実績がないわけだが、この5頭以外の8頭の母系から「見えてくること」があると思うが、その「見えてくること」に気付いていただけるか否か。
この点は今回の「金鯱賞」のみならず、今後の「馬事生産振興密約競走」にも大きくかかわってくることであるということをまずは申し上げておきたい。

その上で、さらに一歩突っ込んだ視点からキーワードを申し上げると、


ドゥレッツァ
プログノーシス
ブレイヴロッカー
ノッキングポイント
レッドジェネシス


ヨーホーレイク
ハヤヤッコ


シーズンリッチ
アラタ


ワイドエンペラー
ヤマニンサルバム
バラジ
エアサージュ


今回の金鯱賞の出走メンバーはこの「4つのグループ」に分割できるということ。
お付き合いの長い「振興会賛助会員」の皆様なら、この時点でもうすでに「なるほどそういうことか」と合点がいっている方もいらっしゃるのではないかと思うし、正会員の皆様なら当たり前のように「わかりやすすぎる」と仰っていただけるのではないかと思うが、しかしながら、それはあくまで「馬事生産界とのつながりが深い方々」だから当たり前のことであり、今回はHSPのROYAL認定会員の皆様もいらっしゃる、このコラムの初回である以上、もう一歩踏み込んでいく必要があると考えている。

そのキーワードこそが「大阪杯」。
大阪杯の主要出走予定馬をここに連ねる。

カテドラル
キラーアビリティ
スタニングローズ
ステラヴェローチェ
ソールオリエンス
タスティエーラ
ベラジオオペラ
ボッケリーニ
ローシャムパーク
ロードデルレイ

もちろんこの金鯱賞をステップに大阪杯へ駒を進める陣営もいるし、この金鯱賞自体が大目標の馬もいる。
その中で、あえてなぜこの大阪杯の出走予定馬をここに書き連ねたのかという点と、それ以前に記載した内容を照らし合わせていただければ、このレースの背景が見えてくるのではないかと思っている。

久方ぶりの活動再開に伴う「初回のコラム」ということで、私自身も「手探りな表現」が多かったとは思うが、「知る立場にいる者」として、必要なことは書かせていただいた。

今一度申し上げておけば、これは「答えを探してもらうためのコラムではない」ということ。
今、ここまでお読みいただいた中で答えがわかってしまった方も多いとは思うが、それは、幾度となく「馬事生産振興機密競走」に参戦してきた経験がある方々だからこそ、得心できるのであって、その方たちでも最初の頃は「何を言っているのか」「何を伝えようとしているのか」をなかなか理解することはできなかったと思う。

がしかし、レースが終わった段階で今一度読み返していただければ、少なくとも「こういうことが言いたかったのか」ということへの理解と、そして、「なるほど、この結果になることを知っていたからこそ書いた内容だったんだな」ということをご理解いただけると思う。

その上で、文中でも申し上げたが、今回記載した内容は「金鯱賞に限った内容だけではない」ということは絶対に忘れないでいただきたい。

その上で、今後の「馬事生産振興機密競走」の大まかな予定を最後に記し、初回のコラムを〆させていただく。

■2024第1回:馬事生産振興機密競走
3月10日:金鯱賞

■2024第2回:馬事生産振興機密競走
3月16日:ファルコンS

■2024第3回/4回:馬事生産振興機密競走
3月23.24=ドバイ及び日本での競走から各1鞍ずつ

現在決定している競走で、公開できる範囲はここまで。
3月23.24については「ドバイのどのレースであるのか」及び「日本のどのレースであるのか」については、決定はしているが公開許可がまだ下りていないという状況。

まずは、金鯱賞そしてファルコンSと、「中京競馬場での施行重賞」が対象になっていることにも、もちろん一定の意味があるということは申し上げ、コラムを締めくくらせていただく。

まずは、金鯱賞でどのような必然の結果が生み出されるのか、その真実をしっかりと目の当たりにしていただきたい。

2024年3月8日
ROYAL INSIDE|Vol.1|金鯱賞:振興密約の背景
執筆:馬事生産振興会:専務理事/河野匡洋